北海道ガス株式会社

オフサイトを使ってイノベーション発現の環境づくり
~「失敗が開発を育てる!」人・物・ビジネスが成功へ動いた

「工事現場の人を少しでも楽にしたい」という思いで自ら発案し、8社での共同開発の幹事になった時、「いいものをつくるには何が必要か?」と考え、開発会議の内容・進め方をがらっと変えました。業界慣習を超えた「失敗してもいい」空気づくりなど、新装置の実用化に向けて、みんなが成長した、型破りなプロセスを語ります。

北海道ガス株式会社

技術開発研究所 技術開発グループ 供給技術開発チーム
係長: 山本 幸一

「開発とは、前人未到の登山のようなもの」と語る山本幸一さん。
北海道ガスの開発研究所に勤める山本さんの発表は、自社内ではなく、他社との共同開発の中での取り組みであった。

北海道の寒冷地で利用する機器は、本州よりも厳しい環境下で機能しなければいけない。そのため、開発部隊に求められる要求水準は高くなる。北海道ガス機器の開発には、単独開発と共同開発があったが、共同開発の場合、北海道ガスに限らず全国各地の企業や団体が参加する。開発会議の場は、ある程度開発シナリオが決まっており、発言の内容も限られるようだ。休み時間のたびに、そのことに対する疑問の声が参加者から上がっていた。しかし、表立って疑問が呈されることはなかった。この状況をどうするか?

考えた山本さんはオフサイトミーティングを活用することに決めた。オフサイトミーティングとは、場所を変えて非日常の雰囲気のなかで気楽で真面目な対話をする場のことである。山本さんが注力したのは、①雰囲気づくり、②立場の排除、③当事者意識、④信頼関係、の4つのポイントだそうだ。

旧来の会議をオフサイトミーティング形式に変えると、徐々に変化がみられるようになった。参加者が少しずつ本音を出すようになり、信頼関係が生まれてきた。そして、これまでのゴールありきの議論から、徹底的に話し合い合意してから進めるスタイルに変わったのだ。徹底的に話し合うことで、「意思決定の精度もスピードも早くなった」という。
山本さんの取り組みが結実したのが新構造のガスバックの開発である。本音の議論を重ねるなかで、トライ&エラーを高速で繰り返し、新しい構造にたどり着いた。

イノベーションの発現のためには、ざっくばらんな本音の議論が必要である。それを実現するのは、異なる意見や失敗を認め合える信頼関係だ。「開発における失敗は、成功のための試金石」であり「失敗は新たな情報の蓄積」なのだ。

アンケートにお寄せ頂いた声(一部)

  • 変わりたい、変えたい。変化するためのプロセス説明が分かりやすく、自社でもできそうだと思えた。
  • 社内でもオフサイトを実行しいい風土を目指していくのが大変であるのに、全国の他社とのプロジェクトで実行していることに驚かされた。ご本人の人間力(巻き込む、人を引きつける力)によるところもかなり大きいと感じた。