プロ集団の組織力

これまでの100年とその先に続く組織力向上への挑戦

2024年に100周年を迎える安井建築設計事務所は、自らの社内風土の改革と共に、これからの設計事務所の存在意義や価値を改めて問い直す。“人やまちを元気にする”というコーポレートメッセージを仕事の判断基準にし、個の強みをいかしながらチームで勝つプロ集団としての組織力の向上に挑戦している。個々の強みやまだ十分引き出されていない能力を最大限引き出すマネジメントへの取り組みを全社的に展開している。中堅・若手を中心としたコアメンバーがマネジメント層と一緒に、経営課題や組織課題の解決のために、自律的にテーマを設定し取り組み始めた。今回はそこを中心にご紹介します。

株式会社 安井建築設計事務所

大阪事務所・東京事務所メンバー

2024年に創立100年を迎える老舗の株式会社安井建築設計事務所。有形文化財である大阪ガスビル、サントリーホール、森トラストタワーなど、有名な建築物の設計を手掛ける日本でも有数の組織設計事務所です。「これまでの100年とその先に続く組織力向上への挑戦」について、チームワーク抜群の入社9年目から13年目の4人のメンバーが語ってくれました。ぎりぎりまで磨き込んだプレゼン資料は120枚越え、チャット総数約100件と、終始熱のこもった語り口で視聴者を惹きつけて離さない50分でした。


安井建築設計事務所の歴史や設計事務所の仕事内容について、建築物の紹介と合わせてスタート。社内でもまだ公開されていない会社紹介のビデオを紹介すると、一気にチャットが動き始める。単なる仕事紹介にとどまらず、安井で働くメンバーの仕事に向き合う姿、信念、わくわく感が満載。チャットには「ワクワクの仕事ですねー」「めっちゃ泣けてきた」「仕事が好き、会社が好きが伝わってきます」「若い人もそうじゃない人も生き生きしている―」「感動しました」と社員の皆さんの仕事にかける思いが映像とともに伝わってきた。

そして、組織風土改革になぜ取り組んだか、何にどう取り組んだか、に続く。創業100周年を超えても今まで大事にしてきた視点を引き継ぐために、組織はよりよく進化する必要がある、それが「YASUI STYLE」。

組織風土改革コアメンバーは、役員から中堅社員まで16名。「人やまちを元気にする」を大きなコンセプトに、「縦割り経営」から社員が自主的に動く「共有型経営」への転換と定めた。まず「そもそもどういう組織なのか?」をつかむために、アンケートで社員の声を集めたり、多様なメンバー、多様な階層でのオフサイトミーディングを実施。問題意識も人それぞれで、付箋に書かれたキーワードはホワイトボードをはみ出すほどの量。そこで浮かび上がってきた私たちの組織風土と、「建物の作品力を高めたい」「時間を生み出したい」といった4つの課題。ここからが本格的な風土改革のスタートとなった。

めざすは「人が育つ元気な会社」と「みんなでいい仕事をする」こと。そのために自分たちは「自律的なプロ集団になろう」。方向性がきまると、がぜんエネルギーが出る。一つ一つの課題に、打ち手を考え実行へとつなげる。たとえば、作品力を高めるひとつとして「いつでもどこでも、クリエイティブミーティング」を実行。職場で気軽にミーティング、上司と気軽にミーティング。そんな積み重ねが気軽にプロポーザル当選、にもつながった。

現在、変革が始まって3年。とりあえず一歩動いてみようと、未来づくりに動き出す中でのコロナ禍。その中でも柔軟に適応することができた。ありたい姿をめざして、小さなことから大きなことまで変化を起こし始めたことを実感している人も多いという。
プレゼンテーションの最後は、社員の笑顔と「未来につながるようによい風土をみんなでつくっていく!」「人や街を元気にし続けるプロ集団であり続ける!」との力強いメッセージで幕を閉じた。
プロとしての仕事愛と会社愛溢れる安井建築設計事務所の皆さんが、どんな未来をつくっていくのか。それぞれの建築物の背景にある物語をみつづけたい、そんな思いに至ったプレゼンテーションでした。

アンケートにお寄せ頂いた声(一部)

  • 組織力の向上に関する取り組みをオフサイトミーティングなどにより実現し、形だけではなく、自分たちの手で未来を想像している姿に感銘を受けました。
  • 同じ100年企業、てことでこの安井建築設計事務所さんのセッションを選んだのですが、ほんま良かったです。めちゃくちゃ元気、若手4人ということもあるのかもだけど。会社として「誇り」や「愛」がスゴイ。めちゃくちゃ元気をもらった。トップコミットメントの本気度もスゴイ。フルコミットメントの大切さを再認識した。
  • 発表の生き生きさから見ても、楽しく、業務改革しながら風土づくりをされている様子がうかがえました。仕事である以上、楽しいことばかりではないと思いますが、外に対して、あんなに楽しくやれるのが非常に印象に残りました。