株式会社アルミック

自立型経営が軌道に、次の目標は「一人でも多くの経営者をつくること」

売上3倍を果たした経営のキーワードは「自立」。アルミックでは営業所の出店や工場設備の導入も事前の承認を必要としません。自己申請は基本GO。これまで経営が取り組んできたことは、一人ひとりの意思を大切にしたもの。その自立型経営の次なる目標は「一人でも多くの経営者をつくること」です。本セッションでは、自己実現と収益向上を同時実現するヒントが見つかります。

株式会社アルミック

代表取締役社長: 末武 悟

アルミ建材の設計・製造・施工や鋼材製品の販売などを手がけるアルミック。
リーマンショックの余波が残る2009年に事業承継で代表に就任した末武悟社長は、先代を越えていく自立の経営精神で、外部から学んだこと、気づいたことにどんどん着手し、売上3倍、利益5倍と、会社のポテンシャルを引き出して成長を果たしています。

成長要因の一つは、主力の建材事業の営業エリアを拡大し、総体としての営業力を徹底的に強化したこと。通常のように本社の拠点戦略にそって展開するのではなく、アルミックの場合は、権限委譲された部長がエリア拠点の経営者として、アメーバのようにエリア拡大をリードしています。たとえば、部長が「ここの地域で営業したい」と思ったら、会社の承認なく出店し、自力でエリア開拓ができるのです。

もともと厳しかった先代の方針もあり、その営業力は磨かれ続けています。
常に、2倍もしくは2分の1をめざすという高いストレッチ目標。前任者や先輩の実績への乗っかりを許さない、同じことの繰り返しや現状維持・変化なしは認めない、という自力・自立度を重視する評価。そこに末武社長は、さらに苦し紛れとも思える高い売上目標をエイヤッと掲げます。
それが単なるプレッシャーではなく、反発はあっても徐々に「まあいいか」と苦笑いされるようになっているのは、それが“めざして近づいていく”目標であること、これまでアルミックで耕されてきた営業の文化があること、そして「一人ひとりの自立と仲間の成長」を重視する末武社長の理念が、さまざまな施策を通じて伝わっているからでしょう。

もう一つの事業の成長要因は、環境や発注元に左右されやすい受注型の請負業から外装建材総合メーカーへと、ビジネスモデルを転換していく新たな道を開拓してきたこと。
メーカーとしての一歩を踏み出し、自社商品を充実していくため、新たな事業を立ち上げると同時に、かなめとなる工場部門の自立をめざす工場改革に着手しました。

これまで赤字部門だったメタル工場を新たな成長の担い手にしていくため、内製化のための大規模な設備投資をし、自分たちのものとして目標設定し経営していく自立型を進めています。
逆に手摺工場は、黒字であるがゆえに、繁忙期には長時間労働が繰り返されるなどの問題に手がつけられていませんでした。社員は顔色も悪く疲れています。現場の実情を聞いた末武社長は、トヨタ生産方式を参考に流れの全体最適化、小ロット化のものづくり改革に着手しました。その結果、見学者が絶えない工場に生まれ変わっています。
商品の施工までを一貫して手がけるための人員体制も強化しました。

こうした会社の将来につながる各部の取り組みを、社長が指示してやらせるのではなく、社員が自らやりたいと思い、自分のものとして自分たちで考えて進めていく会社にしたい、というのが末武社長の考えであり、やり方です。その根本にあるのが〈追いかけ続ける私の理想〉に書かれている「人間の無限の可能性を信じ、能力を未来進行形で捉える」という印象的な言葉です。

これははじめて経営者になった自分にもそのチャレンジができたんだから、みんなにもできるし、そうあってほしいという自身の体験が下敷きにあります。だから「これだけは社員に押しつけたい」と明言されているのが「学習し、成長し、変化し続けていくこと」。それが会社の大小や立場に関わりなく、人間らしく生きて幸せになることだからです。
そして、そのような人の成長と変化の自己革新には、小さな一歩、努力をバカにせず大切にする、という実行の価値観が置かれています。
理想には、しっかり実現のハシゴがかかっているのです。

アンケートにお寄せ頂いた声(一部)

  • 中小企業の製造に携わる内容であり、はら落ちした。
  • ビジネスモデルを転換して新しい道を開拓した実際の話を聞いて、舵を切るときの思い切りのよさ(会社の承認なく開拓OK)がとても刺激的だった。生き方やあり方そのものを自分にも問い直したいとおもう。
  • リアルな経営の改善プロセスと同時に、組織をどの様に巻き込んでいくのかに非常に説得力を感じた。明日から自社で取り組む動きに参考にできることが多々あった。