合同会社おもてなし創造カンパニー

新幹線清掃チームの働きがい改革

組織のめざす目標はそこに働く多くの人々の力があってこそ達成可能です。そしてその力は、熱意、希望、努力そして生きがい、働きがいといったエネルギーによってとても大きな力となっていくと考えます。働き方改革ではなく働きがい改革。新幹線清掃チームのチャレンジをみなさまと共に共有したい。そう考えています。

合同会社おもてなし創造カンパニー

代表: 矢部 輝夫
(元 株式会社JR東日本テクノハート TESSEI おもてなし創造部長)

おそらく日本でいちばん有名な清掃の会社TESSEI。日本だけではなく、世界のメディアでも紹介されている「世界最速の鉄道清掃チーム」。矢部さんが、「(TESSEIを)知っていますか」と会場に問いかけると、参加者の多くが知っているという反響だ。
従業員が働く誇りを持ち、当たり前のことを当たり前に成し遂げる。お客様には"お掃除"ではなく"一回しかない思い出"を提供する。これがTESSEIだ。

一般的に今の働き方改革は、ムリ、ムダの排除、生産性を上げて長時間労働をなくすこと。つまり、「働かせ方改革」ではないか、と切り出された。TESSEIの働き方改革は「働きがい改革」。今までのサービスをそのまま踏襲するのではなく、新しい価値の創造していくこと。そして、「働きがい・生きがい」「人の幸せ」を求め続けることが本当の意味の働き方改革ではないか、と矢部さんはいう。

普通の清掃の会社がどのように世界最速の魅せる掃除をする「おもてなし創造会社」へと変わっていったのか。

核となる課題は二つあった。一つは、会社・リーダーがスタッフの頑張りに無関心だったこと(与えられた仕事だけを淡々とこなせばいい)。二つ目は、仕事に対する世間のイメージだ(スタッフが自分の仕事に自信を持てない)。

「小さくてもいいから、まず変化を創造しよう。新しい価値を創造し、チームやお客様と共有し満足していこう。」という思いのもと、まずは、考え方を変えることから始められた。自分たちは何者かを問い直し、清掃業はサービス業であること、を再確認して生み出されたのが"お客様と一緒に思い出づくりをする「新幹線劇場」"だった。お客様とスタッフがシーン共有するステージと自分たちの仕事の再定義をしてからはやることが変わった。「さわやか・あんしん・あったか」を思い出というお土産としてお持ち帰りいただくことをめざしている。
そのために、強固でかつしなやかな組織づくりとして、「認め合う文化」づくりを進めてきた。

その結果、プライドを捨てて現場に入った仕事で、新しいプライドを手に入れた。それはマンネリ打破と、モチベーションの向上だ。「お掃除屋」じゃないことを「本気」で共有し、実感することで、おもしろさから職場はわくわくどきどきの「新幹線劇場」へと変わった。

これまで言われてきた3K「きつい・汚い・危険」の時代に終わりを告げて、新しい3K「感謝・感激・感動」へ転換する。TESSEIの働きがい改革は、従業員の人生を見据えている。そして、一人ひとりの人生に誇りを持たせるという意味で、真の働き方改革なのではないだろうか。

セッションの最後にみなさんが笑顔いっぱいで働いている感動的なDVDを見せていただいた。
みなさんの「ありがとう。いってらっしゃいませ」の言葉と気概と誇り、思いやりと感謝。そして、どれだけ困っている人の役に立てるか、という心が伝わってくる映像だった。
どんな仕事もどんな人生も、誇りと生きがいを持った瞬間から輝く。
新幹線東京駅ではいつも「新幹線劇場」が開演している。感謝・感激・感動の世界。
矢部さんの結びは、「TESSEIのおばちゃん、おじちゃんに絶大なエールを!」だった。

アンケートにお寄せ頂いた声(一部)

  • 実際に変革を遂げ、自分たちの仕事にプライドをもって取り組んでいる人たちのコメントを見て、とても灌漑深かった。働くことのすばらしさを再認識できた。
  • シニアスタッフが孫に「おばあちゃんすごいネ」と言われ、「プライドを捨てて、ついた職で、プライドをもてた。うれしい」というコメントがあり、そう思わせる企業の力に感動した。泣けた。
  • 社員満足がお客満足にもつながる。まずは従業員という考え方が印象に残りました。