サイボウズ株式会社

個人の幸せづくりから始めるポスト働き方改革

名ばかりの「働き方改革」にそろそろ疲れていないでしょうか。このセッションでは、そんな「やらされ感」による改革とは対極的に、「働き方改革」が話題になる以前からひたすら社員一人ひとりの幸せに向き合うことで進化してきたサイボウズを例にして、これからの「組織の考え方、あり方」を皆さまと探求したいと思います。

サイボウズ株式会社 チームワーク総研

シニアコンサルタント なかむら アサミ

今でこそ働きがいのある会社を代表するサイボウズ。2004年には、なんと離職率が28%もあった。80人の会社なのに毎年25人が辞めていく。入社したての人事担当だったなかむらさんは危機感を感じた。そして始めたのが働き方改革だった。

社員を元気にしたい思いで、最初は人事制度に手をつけた。ところがトップダウンの改革に社員は大反発。この失敗を糧に、なかむらさんは自分のやり方を180度変えた。会社が制度をつくるのではなく、社員自身で理想の制度を考えてもらうことにしたのだ。

まずは社員が抱えている「モヤモヤ」を話しあうことからはじめた。15人単位で合宿を行った。社長、副社長は毎回参加。2年間毎月開催した。そこから生まれた言葉が「質問責任」だ。社員には、モヤモヤすること、わからないことを上司に質問する責任がある。質問された人は説明責任を果たす。誰もわからなければ、最後は社長が説明する。
これを通じてつくりあげたのが「100人100通りの人事制度」だった。一人ひとりの幸せを考えて、公平性よりも個性を重視した制度だ。

現在では離職率は4%にまで低下している。それと反比例するように業績は上昇している。この活動が成功した最大の要因は、目標数値からスタートしなかったことだ。結果を出そうと無理をすると人間関係が悪くなる。アイデアも出なくなる。そして結果はさらに悪くなる。だから最初に手をつけるべきは職場の関係性だ。関係性が良くなれば、みんなの知恵が集まる。協力的な行動が生まれる。それが最終的に結果につながる。

サイボウズの場合は、関係性の質を上げるために、まずは部活動やランチミーティングなどへの補助を通じて、人事主導で質の高い場をつくっていった。それが社員の自発的な場づくりにつながっていった。
組織として結果を出すために、まずは社員の幸せを考えるサイボウズの取り組みこそ、人間としての原理原則に従った本物の働き方改革だと感じた。

アンケートにお寄せ頂いた声(一部)

  • グループウェアとして確固たるブランドを維持している所為がわかりました。色々な働き方ができるツールはあれど、そのビジョンの伝達ができるか。ここに尽力されているのが印象的でした。
  • 従来の人事のあり様とは真逆の世界をリアルに実感することができた
  • マネジメントの軽量化と組織戦略の新しい交差点を見たという気がします。